ジン事典
Volume 4

ZAZAの仮面舞踏会編
19th SHOT「ザザの仮面舞踏会」

ザザ【ZAZA】
  スイート・マティーニのバリエーションカクテルの一種。中口のショートカクテル。
レシピ:ドライジン45cc、デュボネ45cc、アンゴスチュラビターズ1dashをステアしてカクテルグラスに注ぐ。


デュボネ【DUBONNET】
  ワインにキナ皮(マラリアの特効薬キニーネの原料)をブレンドして樽熟成させたフレーバードワインの一種でアペリティフ(食前酒)としてよく用いられる。

ステア【Stir】
  カクテル作成の技法の一つで、ミキシング・グラスに氷と材料を入れ、バースプーンで混ぜることを言う。その後、ストレーナーをかぶせて液体だけをグラスに注ぐ。シェークより簡単そうに見えるがバースプーンの背をミキシンググラスの内面 に沿わせたままくるくると混ぜるテクニックは意外と難しい。 また単に混ぜることを「ステアする」と言うこともある。

マルチニック【MARTINIQUE】
  西インド諸島東部・小アンティル諸島にあるマルチニック島はラムの産地として有名。19世紀にはフランスの海外県として栄えていたが1902年に火山の大噴火で大被害を被っている。この島のラムはミディアムタイプに属し、飲みやすいものが多い。

ダンダー【dunder】
  ラムを蒸留した後の蒸留廃液。肥料などとして用いられる。発酵の際にこれを混ぜる醸造法をサワー・マッシュ法と言う。

ヴィンテージ【vintage】
  毎年のブドウの収穫期、ワイン醸造期。優良なワインや(年号を伴って)何年ものワイン。ワイン以外にも優れ物、年代物(ビンテージカー等)の意味もある。また円熟した年齢という意味で「年寄り」の遠回し表現にも使われる。

20th SHOT 「至上の微笑」

レモン【LEMON】
 カクテルには欠かせないレモンだが、リキュールにもなっている。デカイパー社のシトロン・ジュネヴァは爽やかな酸味と香りが心地よい。 同じくカクテルに欠かせないライムとの最大の違いは?色、と答える人が多いが答えは「香り」。ジントニック一つにしてもジンの銘柄によってレモンとライムを使い分ける知識・見識を持つのがほんもののバーマンだ。

アンゴスチュラ・ビターズ【ANGOSTURA bitters】
  フランス人軍医、ヨハン・シーゲルトが南米ベネズエラのアンゴスチュラ町の英国陸軍病院で1824年に開発した苦味薬草酒。軍人のための健胃強壮剤としてつくられたもので、強烈な苦味と独特の匂いがある。現在はトリニダード・トバゴで生産されている。よく冷えたミネラルウォーターにこれをたっぷりフロートさせたものは二日酔いの特効薬。 通常、カクテルにはアクセントとして1、2ダッシュ加えることが多い。

キューブドアイス【Cubed Ice】
  1辺3センチ位の立方体に近い形の氷。シェーカーやタンブラーに入れるのはこのサイズ。製氷器で作る角氷(アイスキューブ)は溶けやすく水っぽくなるのでカクテルには向かない。

21st SHOT 「日出処の戦士」

ギンジョウ【GINJO】
  初登場、日本酒用語。言わずとしれた吟醸酒だ。米を磨けば吟醸酒、と思われがちだが法律上は米・米麹(精米歩合60%以下、つまり玄米の4割を糠にする)と麹を含む米の10%以下の醸造用アルコールを原料とし、吟味して製造した清酒で、固有の香味・色沢が良好なことと規定されている。ちなみに「大吟醸」となると精米歩合50%以下と米を半分以上磨いてしまう。

クラッシュドアイス【Crushed Ice】
  潰すように砕いた粒状の氷。通常、電動かハンドル式のアイスクラッシャーで作る。フラッペやトロピカルカクテルに用いられる。いわゆるかき氷はシェーブドアイス。

22nd SHOT 「死闘の果て」
23rd SHOT 「素顔の涙」
24th SHOT 「風の円舞曲」

JING ON AIR
25th SHOT「光の小猫」


アビエイション【AVIATION】
  ジンベースの辛口ショートカクテル。カクテル名は飛行・飛行機の意味。同じ名のバーボンベースのカクテルもある。なおマラスキーノはキルシュに甘味をつけたリキュール。
レシピ:ドライジン45cc、レモンジュース15cc、マラスキーノ1tsp.をシェークしてカクテルグラスに注ぐ。

ファジーネーブル【FUZZY NABLE】
  ピーチリキュールをオレンジジュースで割った飲みやすく香りの良いカクテル。「ファジー」は桃の表面 の柔らかい毛を表している。日本ではリキュールベースのごく軽い甘口カクテルとして知られているが、アメリカのカクテルブックを見るとウオッカベースのカクテルになっていた。さすがアペリティフにマティーニを飲んでしまうような人種は違うね。
レシピ:ピーチリキュール45ccを氷を入れたグラスに注ぎ、オレンジジュースで満たしてステアする。
American Recipe:1 ounce vodka  1 ounce peach schnapps 4 ounce orange juice
Pour all of the ingredients into a highball glass almost filled with ice cubes. Stir well.


キルシュ【Kirsche】
  さくらんぼから作るブランデー、キルシュワッサー。キルシュはドイツ語でさくらんぼの意味で、フランス語だと正式にはオー・ド・ヴィー・ド・スリーズだが一般 にはキルシュと呼ばれているようだ。チェリー・ブランデーと言うとチェリーリキュールを指すので要注意。ガラス容器等で熟成させるため無色透明で香りのよいブランデーだ。

26th SHOT「天の魚」
27th SHOT 「おへその本性」


アラク【ARAK/ARRACK】
 タイやインドネシアなどイギリスやオランダの植民地だったアジアの地域で飲まれているスピリッツ。語源はアラビア語でジュース、汁を意味する(と酒の本にはあるが、原始的な蒸留器で造られていたことを考えると蒸発した酒が結露する様子を「汗」に例えたものではないだろうか)アラク(Araq)らしい。 もともとはなつめやし(デーツ、ドライフルーツとして輸入されている)の実の汁から造られていたが現在は国によって椰子の実のジュース、さとうきびの汁、糖蜜などから造られるアジアの焼酎。旧宗主国にも伝わったものが残っており、オランダのグリューネバルト・バタヴィア・アラックはラムを力強く野趣に富んだ味わいにしたような酒でアジア料理によく合う。

ペスカ【Pesca】
 イタリア語で桃の実(ピーチ)のこと。 ピーチリキュール参照。

28th SHOT 「雲の巨像」
29th SHOT 「闇の反撃」
30th SHOT 「母の海」


色彩都市の少女編
31st SHOT「競売の少女」


ポンピエ【Pompier】
  「色彩都市」の名からプースカフェ系のカクテルかと想像したが違った。 別名ベルモット・カシスというフランスでよく飲まれているカクテルで、カクテル名には「消防夫」の意味がある。ポンピエの町の「塗装車」が消防車を模しているのはこのためかと思われる。
レシピ:ドライベルモット60cc、カシスリキュール15ccを氷を入れたゴブレットに注ぎ、ソーダで満たして軽く混ぜる。


ドランブイ【DRAMBUIE】
  スコッチ・ウィスキーをベースにしたリキュールで、酒名はゲール語のdram(飲む)、buidheach(満足な)を合成したもので「満足すべき飲み物」の意味。食後酒向きのリキュール。 イギリス王朝・スチュワート家に伝わる秘酒だったがチャールズ・エドワーズ王子によってスコットランドの豪族マッキノン家に製法が伝えられ1906年に商品化された。15年もの以上のハイランドモルトウィスキーをベースにヒースの花のエキスやハーブ、蜂蜜を配合して造られている。往年のハリウッドスター、ハンフリー・ボガードの愛飲酒だった。

32nd SHOT「黒の市場」

シュペートレーゼ【Spatlese】
  ドイツワインの格付けの一つで意味は「遅摘み」。収穫期を遅らせてぶどうの糖度を増して造る。法律で果 汁の糖度が規定された甘口の白ワイン。他にカビネット(良質ワイン)、アウスレーゼ(房選り)、ベーレンアウスレーゼ(粒選り)、アイスヴァイン(氷結ワイン)、トロッケンベーレンアウスレーゼ(TBA、貴腐ワイン)がある。TBAは世界3大デザートワインの一つ。

ヴァン【VIN】
 フランス語でワイン(wine)。ちなみにドイツ語はヴァイン(wein)、イタリア語はヴィノ(vino)。世のワインブームを反映してか、このシリーズではワイン用語が多く使われている。

クォート【Quart】
  オンス法における容量 単位の一つでアメリカの場合946cc(これまたプルーフと同じくイギリスだと1クォートは1136ccというややこしさなので要注意)。並行輸入のリキュール等で946ccと半端な単位 になっているのが1クォートボトル。業務用大瓶サイズのガロンの1/4が1クォート=2パイント=32オンスとなる。日本では通 念上30ccを1オンス(シングル)としている。

フィノ【FINO】
  シェリーのタイプの一つで、淡い麦わら色でアーモンドに似た香りのある辛口。これを熟成させたものがアモンティリャード。

33rd SHOT「深紅の湖」
34th SHOT「5番目の要素」
35th SHOT「氷河の火宅」
36th SHOT「白のタペストリ」